沙衣のためだとは分かっていても、
治すことの出来ない医者である自分に嫌気がさしてしまう。




「お前が気にやむことじゃないよ」




「いや……うん、わかってる」




しかも沙衣はそれを淡々と話すから、
それもまたその気持ちに拍車をたてた。




「………結婚、しようかな」




「………え!?」




無意識に出た言葉に、目の前の大地はかなり驚いている。



いや、正直自分でも驚いているけど。




「だって沙衣が仕事やめたらさ………なんか心配だし」





なぜこんなに言い訳口調になっているのか。


そんな俺に大地はくすくすと笑った。