「ただいま…」



そっと玄関の扉をあけると、リビングからテレビの音が漏れていた。

恐る恐る覗くと、ソファに座ってテレビを見ている奈央がいる。




「おかえり、遅かったね」



そう言って立ち上がって、テーブルにある料理を温め直してくれた。

あまりにもあっさりしている。

お疲れ様、なんて笑顔で言うのはさすがにおかしい。



「ごめん、奈央…急に」


「ううん大丈夫」



弁解しようとしたが、遮られた。



大丈夫って言われても。



そんな顔で大丈夫なんて言われても説得力がない。

笑っているくせに今にも泣きそうだ。