寂しい思いをさせてしまっている、というのは重々承知している。

だけど仕事だからしょうがなくて。


医者の仕事とはそういうものだから、
そこは理解してもらうしかない。


俺にできることといえば、家にいるときにもっとふたりの時間を作ることくらいだろう。



「なあ、沙衣」


「……」


「もっと電話とかしてきていいから」


「……」


「電話くらい割とできるんだからね」



遠慮するのか沙衣はなかなか自分からはかけてこない。

俺がするとすぐに出るから、いつも待ってくれているのだろう。