それでもにこにこ笑いながら愛永の方を見ているのだから、改めて小児科の先生を尊敬した。
愛永も泣かないし、むしろ機嫌は良さそうだ。
「んー……吸入したいねー」
湊くんがわたしを見ながらそう言った。
愛永は看護師さんが持つぬいぐるみに夢中で聞いていないようだ。
「点滴と吸入かな」
「……荒れますね」
パソコンに打ち込んだ湊くんが、改めて愛永に向き直る。
「よし愛永ちゃん。あっちのお部屋行こうか」
指差す方向には処置室。
入口はいろんなキャラクターの絵で飾られているけれど、子供からしたらそんなの関係ないのだろう。
処置室は治療される部屋、という認識はすでにある。
「いーや!」
案の定、いやだと叫ぶ。
さっきまで機嫌が良かったのは嘘のように不機嫌だ。
「ママも行くよ?」
「いや!」
「じゃあ先生と行こうか」
「いや!」

