ガチャ、と玄関が開く音がした。

時計を見ると0時をまわったところ。
ここ最近の奈央の様子からすると、だいぶ進歩したと思う。

高校の友達と言っていたから、安心して出掛けられたのかもしれない。




「……なにしてるの」



なかなかリビングに入ってこないので、玄関先へ向かった。

普段なら放っとくだろうけど、さすがに少し気になる。




「…ん、みなとー?」



「奈央、飲み過ぎ」



玄関で靴を脱ぎかけてそのまま寝そうになっている。

声と様子からして、かなり酔っ払っているのだろう。



「みーなと」



最近は飲みに行くこともなかったからか、酔っ払い奈央がなんだか懐かしい。


さすがに酔っ払いを玄関先に置いたままにはしておけないので、なんとか立たせてソファに座らせた。



「どんだけ飲んだの」



「ふふ、そんなに飲んでないよん」



なにが楽しいのか、俺の顔を見てふふふ、と笑う。