「……無いよなあ」



やはり病院の売店に桃は売っていない。
仕方なく焼きプリンと桃のゼリーを持ってレジへ行く。



「あ、真鍋先生」



隣のレジへ目を向けると、優苗だった。



「沙衣ちゃん、どんな感じですか?」



「んーぼちぼち、ってとこかな」



言いつつ優苗が買うものに目を向けると、慌てて袋を受け取って隠した。



「なんで隠すの」



「っ、隠してなんか」



ゼリーふたつ。

時間的には……夜ご飯か?



「無理して食べろとは言わないけどさ」



「…」


「あまりにも食べてなかったら、主治医として見逃すわけにはいかないからな」