「…タケル」



ボソッと自信なさげな声で真鍋を呼ぶ。

真鍋もそれを聞いて溜息をしつつも、沙衣ちゃんの側へ寄った。



「…ごめん、なさい」



「謝って欲しいわけじゃない。こうなってきついのは沙衣だろ?」



「でも……仕事で忙しいと思って言えなかった」



こうやって素直に話せるところがあるのに。
どうして自分の体調に関しては言えないのか。


突っ込みたいところだったが、これは二人の問題だ。



「電話、なんのためだと思ってんの」



「声、聞くため?」



それもあるけど、と呟いて。



「沙衣が俺に言えるように。少しでも何かあったら言えたらいいなと思って」



その言葉に、沙衣ちゃんの目から涙が溢れてきた。