電話を切ると、人のいない医局が寂しく感じた。

今日は泊まりが少ないのか広々としている。



と、切ったはずの携帯電話が再び鳴り出した。



「あ、ごめん急に。忙しかった?」



「いや、急患もなく平和だよ」



さっき優苗を連れて家に帰った大地からだった。



「一応報告しておこうと思って」



「ん?」



「帰りにまた発作起こしたから今家で吸入させてるとこ」



電話の後ろから、言わないでと揉めている声が聞こえてきた。

言わないで、なんていつまで発作を隠そうとしているのだろうか。



「じゃあ明日の朝かな、連れてきて」



「うん、よろしく」