「はい、どうぞ」



コトン、とカップが置かれた。

1杯だけ淹れたらしく、そのまま隣に座る。



そっと口に含むと、昔と変わらない味がした。



「ん、美味い」



「ほんと?よかった、まだ出来て」



へへ、と笑う奈央をみて思わず俺も笑った。



「あのさ、湊」



「ん?」



「……」



黙り込んだ奈央を見て、カップを渡した。



「飲みなよ、せっかく自分で淹れたんだから」



「……ありがと」



ひとくち飲んで、また戻ってきた。