「ただいまー」



鍵を開けて部屋に入ると、カレーの匂いが漂っていた。



「あ、おかえり」



今朝吸入して、仕事を終えて帰ってきたらしい優苗は家の中をバタバタと動き回っている。

顔色を見る限り、今回はそこまで酷くならずに済んだらしい。



「もういいの?あんま無理すんなよ」



「うん平気。今日はちゃんと片付けたよ」



朝散らかっていたリビングもすっかり片付いていた。

愛永もカーペットの上でひとりで遊んでいる。



「ありがと。ご飯食べよっか」



優苗をみると、おそらく俺が帰ってくるのを待っていたのだろう。

テーブルの上にはきっちりとセッティングしてあった。



「いいね、カレー」



「なんか久々に食べたくなって」



床から愛永を抱き上げて、ベビーチェアに座らせる。

嬉しそうに笑う愛永は、優苗にそっくりだ。