「なんかさ………」



ふと洗濯物を畳む手を止めて優苗が呟いた。



「医者やってても、自分の子供が熱を出したってだけであんなにも不安になるんだね」



「ん?」



「普段を生かして、もっとスムーズに対処出来る気でいた」



声のトーンが下がっているのは、
少なからず落ち込んでいるからだろう。


………別に優苗が落ち込むことないのに。



俺だって正直焦っていた。

愛永に何かあったら、って。

だけど不安になっている優苗の前ではそんな姿を見せるわけにもいかないから。



必死で落ち着いているふりをしていた。



湊はきっと気がついていたと思う。

最後に言われたから。


〝大丈夫、心配すんな〟


診察室を出る間際に言われたその言葉に、俺は正直ほっとした。