「風邪ひいたの初めてだ……」 「まだ分かんないけど」 暗かった診察室の明かりをつけて少しすると、愛永ちゃんを抱えた大地が入ってきた。 愛永ちゃんは毛布で包まれている。 「愛永っ…」 入ってきた大地のもとへ駆け寄り、 優苗さんが愛永ちゃんを抱く。 お母さんの顔を見て安心したのか、 愛永ちゃんは少しぐずり始めてしまった。 「あ、湊捕まえられたんだ。よかった」 「まあ赤ん坊見てくれる夜間は少ないしな」 「ごめんな、頼む」