せめて夜が明けるまで




海からあがると、寒くて凍えそうだった。

死ねなかった。
寒いと感じるということは、私は生きていた。


私は崩れ落ちた。

「あさひ…寂しいよ」


灯台の光が私の左あたりを照らしたとき、砂浜でなにかが光った。

もしかしてあれは…

朝日から貰ったピンクゴールドの指輪だった。


「あった…あったよ朝日…あさひ…」

朝日が死んで私は初めて泣いた。



朝日が私に砂浜に戻らせたんだ。


ひかりはまだ死んではいけない。
俺の分まで生きてほしい。

朝日がそう言ってる気がした。