記憶の中で

彼が立ち上がり、こちらの部屋に来た。
とても痩せほそっていて…

私は、お姉さんのツレを気にしたが
いきなりいなくなっていた。

部屋に2人っきり…
隣の部屋から、お母さんとお姉さんが様子を伺っている。

会話がない…
彼に触れたくてたまらなくて…
いつものように、顔に触れようとしたけど…
掴んだのは、彼の腕だった。
「隼人…サト頑張るから…」
こちらを見て何も言わない彼…

でも、わかった。
もう戻れないことと、何も言わないけどわかってくれたこと。