中学受験は失敗した。あの馬鹿母親が、小6の12月頃になって『あれ、お嬢様学校の制服よね。可愛いわ。ママ、千里にあの制服を着て欲しいな。お受験しましょう。ね?』と言ってきたからだ。私は言われるがまま、受験勉強を始めた。その時に行かされた塾では、もうほぼ仕上げ状態のところまで来ており、全く追いつけなかった。結局、分からず仕舞いで、塾で学んだことは何一つ無かったと言えるくらい無意味な経験だった。そして時は過ぎ、2月17日の受験日が来た。ほとんど諦めかけていた。だが、受験会場に行かないと言うと、きっとあの人は『なんで?ママ、塾代だって頑張って出したじゃない。何事も挑戦よ。挑戦。』などと言い出し兼ねない。渋々行くことにした。もちろん、私は問題用紙をめくった瞬間から合格は諦めた。
合否発表の日、私の受験番号は無かった。当たり前だ、と思ったが、やはりあの人は違った。
『千里が合格してないなんて、有り得ない!絶対におかしいわ。』
母は、不合格を認めようとはしなかった。