その後、祐二のスケベ発言で暴れだした麻紀を制した唯衣が吹っ飛ばされて。

 その肩に乗っていたオレも一緒に飛ばされて。

 うまい具合に流川にキャッチされ。


 逃げるように旅館をあとにして観光をして回った4人。

 その間、オレは流川の肩に乗っていた。

 良かった。

 唯衣じゃなくて。

 オレの顔も足も汚れることなく、無事に旅館に戻ってきた。


 部屋割りで少々もめた4人。

 っていうか、唯衣が一人で焦っていたようだけれど。

 結局、唯衣と流川、そしてオレのいつもの2人と1匹で部屋に落ち着いた。

 この組み合わせが、オレにとっては一番安心する。


 部屋に入ると、オレを抱えたまま、だんまりの唯衣。

 流川も。


 唯衣があまりにもぎゅうっとオレを抱えるものだから、

 オレの頭、変形。


 くるしいぞ、唯衣。

 なんでそんなに緊張してるんだ?

 旅館とアパートじゃ全然違うとかなんとか。

 …その辺か? 緊張の原因は。


 う~ん。

 ワイドショーをいつも見ていたオレだけれど、その辺の人間の感情はよくわからない。


 あ、もしかしたら、

 たま~に見た昼ドラのあれか?

 くっついたり離れたり、

 ドロドロの人間関係。

 …ともまた違うか。


 その様子に、仲居さんのほうがそわそわしている。

 
「あ、あの…そのカエルさん、車酔い、大丈夫でしたか?」


 …ぶ。

 オレがカエル。

 いや違う。

 ウケル。