「じゃ、戻るわね」

「ああ。気をつけろよ」

「ふ。アタシは気をつけなくとも大丈夫よ。向こうから避けてくれるから」

「ぶ。そうか」

「お店には遊びにきてよね」

「ああ。行くから」

「約束よ」


 ナオちゃんからカラダを放すと、

 空いた2人の隙間を緩い風が通り抜けていった。


 薄暗い一本道。

 何度振り返っても、ナオちゃんはそこに立ってくれていて。

 何度手を振っても、同じように手を振りかえしてくれた。


 イイ男。

 やっぱり好きよ、ナオちゃん。


 これからは、一人の人として好きになれるように努力してみるわ。

 当分、オトコとしてしか見れないかもしれないけど。

 でも、アナタが幸せになれるなら、

 アタシは諦める。

 そして応援するからね。


 曲がり角。

 最後にもう一度振り向くと。

 アタシより先に手をあげて見送ってくれてるナオちゃん。


 泣かないわよ。


 ナオちゃんの彼女を見るまではね。





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◆スピンオフ
3.らぶりー留美編「叶わぬ想いでも」了
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