だからね。

 別にこの想いが伝わらなくてもいいの。

 ナオちゃんが幸せになってくれるならそれでね。


 でも。


「しょうもないオンナが相手だったら許さないわよ」


 呟きながら追いかける背中。

 
 こんなストーカーみたいなことはしたくなかったんだけど。

 確かめなきゃ気がおさまらないわ。



 数日前。


「ナオちゃん、アパート改装工事するんだって?」

「ああ」

「じゃあさ、その間、行くとこないでしょ? アタシの部屋に来ない?」


 これはチャンスよ。

 こんなことでもない限り、ナオちゃんがアタシのとこに来てくれることもなさそうだもの。

 今まで散々誘っても、一回も来てくれてないし。


「いや、いいよ。行くとこはみつかった」

「は? 友達のとこ?」

「まあ、そんな感じ」

「…友達って…男よね? まさかオンナじゃないわよね?」


 聞かなきゃ良かったかしら。


「男友達の部屋だけどな。今はオンナがいるっていうか」

「はああああ!??」


 冗談じゃないわっ!

 どんなオンナなわけ?!


「おおおオンナっって!」

「そんなに驚くことねーだろ」

「だってだってだって!」


 悔しいわっ!

 それじゃなくたって、オンナには敵対心が生まれるってもんよ!


 どんなオンナなのか確かめたくて、それから何回もナオちゃんを問い詰めたけれど。


「じゃ、またな」


 悩殺スマイルを残して去っていってしまったのよ…