電車を降りて、小走りになる唯衣。


「な…なんだよ、お前」

「なんだよって。迎えにきてくれたんでしょ」

「いやそうじゃなくて。脱力したミドリの…それはなんだ」


 オレを見て、唯衣より仰天してるらしい背の高い男。


「グッタリしてるぞ、そいつ」

「いや、生き物じゃないから」

「買ったのか」

「まさか。誕生日のプレゼントでさ。もらっちゃって。いや~電車のなか、恥ずかしかった」


 あはは。

 笑う唯衣の腕を引っ張った男に連れられて、

 オレはまた外に出た。




 薄暗い道。

 オレは男の肩に乗せられた。


 温泉がどうのこうの…

 話している。


 男はオレのケツを撫でながらゆっくり歩いていて。


(はぁ…気持ちいい)


 変な意味じゃなく。


(撫でられるって、こういうことか)


 オレの仲間たちも、こうして触ってもらってるんだろうか。

 だといいな。

 気持ちいいもんな。



「…行く?」

「行ってやるよ」


 
 どうやら温泉話がまとまったらしい。


 オレの足を開いたり閉じたりし始めた男。

 唯衣は口を開けて、この様子に何やら赤面してる。


(この2人と、ずっと一緒に住むことになるんだろうか。っていうかまたどっかに飛ばされるのかな、やっぱり)


 少々不安になりつつ。

 それでもしきりにケツを撫でる男の手の温かさを感じつつ。

 オレは、一軒のアパートに連れていかれた。