あの頃は俺も、別に誰と付き合おうと関係なかった。
周りは彼女作りに必死だったし、
変にモテる俺を妬むような輩(やから)もいて。
たぶんあのオンナと付き合ったのも、合コンかなんかの流れだったような気がする。
付き合ってる間、まあ、俺も男だから浮気と呼ばれるようなことも多少やった。
男だからって言葉で済まされるようなことでもねーんだろうが。
っていうか、あのオンナも陰で浮気してたのは知ってたが。
そんな程度の付き合いだったな、そういえば。
付き合うってことに対して、気持ちの面が追いついてなかった。
「裄(ユキ)~待ってよぉ」
「浅海(アサミ)のこと待ってたら明日になっちまうよ」
「あともう一ヶ所寄りたいんだけど!」
「…まだ何か買うの?」
「だってぇ、四月からは大学生でしょ? 気合入れなきゃ!」
「気合入れて、他の男に目ぇつけられんの、俺イヤなんだけど」
「あ、もしかして妬いてる? 裄?」
「っ、や、妬くわけねーだろっ」
「顔赤いよ? 裄」
「うるせっ」
ふふん。
制服姿のカップルを見て、あの頃の自分を思い出す。
四月から大学生か。
これから先、いろいろあるぞ。頑張れよ。
なんて心で呟いてる俺はオヤジか。
まあそろそろ…
彼女と呼べる存在が欲しいのも事実だ。
だが。
俺は自分が本気で惚れたオンナじゃねぇ限り、
この先、無駄な付き合いは避けたいと思っている。