13人の兄妹






(あの頃は、自分がこっち側に座るなんて思ってもみなかったな…
でも、初めてこっち側に座るのが、まさか妹の入学式になるなんて……そんなの思ってもみなかったな…)


そんなことを考えながら、前の方に座ってる那津を見てみると、頭が前後に揺れていた。


(え…?那津、何であんなにも揺れてるんだろう…?)


ジーッと見ていてハッ!とやっと気づいた。


(もしかして…寝てる?)


再びジーッと見ていると、今度は横に倒れそうになっている。


雅人「…あ!」


少し声にもれてしまい、周りに座っている人がこっちにいっせいに見てきた。


雅人「あ、すみません…」


謝ってから、もう一度那津の方を見ると、さっきの倒れそうになっている位置のまま寝ているみたいだ。


(な、なんて器用なんだ…あのまま倒れないといいんだけど…)


と、ハラハラしていると、


「それでは、これにて入学式を終わります」


その声で目が覚めたのか那津は、軽く伸びをしていた。


はぁ……と思わずため息をこぼした。