これは、予想以上にクるわ。


露わにされた伊吹のお腹は、いい具合に筋肉がついていて、腕だって細いけどガッチリしていた。


何よりも、鎖骨から首筋のラインにかけてが色っぽい。



知らない間にこんな大きくなってるなんて、びっくりするじゃない。


火照った頬を押さえながら、余裕そうなフリをして何か食べるものは無いかとキッチンへ向かった。



「由乃、ほんとに何もないから」


「なら、伊吹が何か作ってよー」



私がキッチンの棚を漁っていると、スウェットに着替えた伊吹が呆れた様子で溜息をつく。



「はぁ。めんどくせー。

じゃあ、何か適当に作るから、由乃は座ってろ。」


「私、伊吹の作ったフレンチトーストが食べたいな〜?」


「あーはいはい。わかったから。
大人しく座ってろ」



伊吹ママは、お昼はパートのお仕事をしているからこの時間帯はいつも不在。


私の方も、伊吹ママと同じ所で働いていて家には何もないから、大抵は伊吹にこうやって食べるものを作ってもらう。



私、学校ではあまり食べないようにしているから、この時間帯になるとお腹が空くのよね。


だって、お姫様の私がモリモリご飯を食べてるなんて嫌でしょ?

こう見えても、大食いなの私。
お父さん譲りの食べても太らない体質だから、太りはしないけど。



「はい。お待ちどーさま」



リビングのソファに座ってテレビを見ながらフレンチトーストを待つ。


やがてそれは、絵柄の入った可愛らしいお皿に乗せられ、テーブルへやってきた。

甘い香りが鼻を掠めて、どんどん湧いてくる食欲。