学校から家に帰り、帰宅早々私は鞄だけを置いて、再び外に出た。


そして、向かうのは二軒隣の家。

見慣れたほど、馴染みのある家。
私はインターホンも押さずに玄関の扉を開けて、鍵を閉めた。


靴を脱ぎ捨て、ドカドカと足音を立てながらリビングに続く扉を開けた。



「あー!もう。鬱陶しいっつーの!
大体、潔癖性を信じるなんて馬鹿にも程があるわ!」



そう大声で叫んで、何の躊躇いもなくソファに座った。

このソファも、もう何回座ったんだろうか全てが慣れ過ぎて、感覚が麻痺して来てるような気がするわ。



「ねぇ、伊吹?いないの?」


気配を感じられないリビングにそう問いかけると、扉がガチャッと開いた。



「…由乃。いい加減、煩いよ。」



見ると、そこには呆れた声と共に、今帰ってきたばかりなのであろう、制服を着てリュックを手に持った、幼馴染みの伊吹が立っていた。



「伊吹、遅かったのね。」


「うん。日直だったし」



学園のお姫様である私と、王子様である伊吹は生まれた時からの幼馴染み。
家族ぐるみの付き合いで、今まで小、中、と一緒で現在では高校も同じ。



こうやって伊吹の家に浸るのも、今に始まった事じゃないし別におかしいなんて思わない。

むしろ伊吹には、こんな可愛い私と毎日一緒に居られる事を感謝してほしいくらいだわ。