「きゃあっ!ハヤトくん達のグループだっホント超かっこいぃ〜」
「でも一番はやっぱり伊吹くんだよねっ」
私たちの近くに居た女子がそう呟いた。
彼女達が熱い視線を送る、その男の子。
ふわふわの緩くセットされた明るい色の髪と、その整った顔立ち。
彼らみたいにちゃらちゃらしている訳ではない。それでも、目立つグループに居て、浮くこともなく馴染んでいる。
でも、彼らとは少し違う。
爽馬伊吹(そうまいぶき)は、とにかく優しくて爽やか。そして、その人懐っこい笑顔で大半の女子のハートを鷲掴みにする、学校内の人気者。
そして男女問わず人気のある彼の事を一部の女子は、彼のことを"爽やか王子様"と呼ぶ。
"お姫様"の私と"王子様"の彼。そんな私と彼に接点など何もない。
学校で話をしたことすらないの。
……ただし学校では、だけど。
猫かぶりの私の本性を知っているのは、風ともうひとりだけ。
そのもうひとりが、
「伊吹くぅん!こっち向いてっ。」
「爽やか王子〜!今日もステキですっ」
今目の前で黄色い歓声を浴びている、
爽馬伊吹。だったりする。
そして、彼もまたーーーーーーーー
「なぁによ。ニコニコしちゃって。
胡散臭いっつーの。」
胡散臭い笑顔を振りまく爽馬伊吹をじとーっと見つめる。
そう、彼もまた。
猫かぶり男。だったりする。

