「ぜーんぜん。学校中の男子生徒を騙してる性悪女なんか可愛くありませーん。」
「騙される方が悪いんじゃん?」
でも、相変わらず風はキツイなぁ。
そう言って、最後の一口のメロンパンを口に放り込んだ。
そして、規則正しくモグモグとよく噛んで、綺麗に畳んであるハンカチで口元を吹く。仕上げにウエットティッシュで手を拭けば、清潔な女の子の完成。
「何のためにそんな事してんだか。
ほんと、器用よね。」
「モテるためだよ?
ありがとう。」
「褒めてないっつーに」
そんなやり取りをしていると、廊下で話していた男子の軍団が、こちらに気付いた。
「あ、由乃ちゃーん。こんにちは〜」
「こんにちは!」
ヒラヒラと手を振る彼らにいつも通りの笑顔で手を振り返す。
彼らは、学校内でもよく目立つ集団。
この高校は校則が緩いから髪の毛染めたり、ピアス付けたりしてる人が多いんだけど。
彼らの目立つ理由は、その整った顔立ちと整ったルックス。
全校生徒の女子にモテモテの集団。
…確かに格好いいと思うんだけど、ちょっと勿体無いのは、ちゃらちゃらし過ぎてる所かなぁ。
手を振りながらそんな事を考えていた。

