「私はこれでも高校生よ!?」
「こんなに背の低い高校生なんか高校生じゃないし。」
「〜っ! もうっ。あー言えばこー言う!学校でもそんな事言ってみなさいよっ。 フンッ。 伊吹なんか、一気に嫌われるわね?」
「それは由乃でしょ?
潔癖症なお姫様のフリをした恐ろしい化け猫じゃん」
「誰が化け猫ですって!? ふざけんじゃないわよっ!!」
声を荒げたせいで、呼吸が荒くなる。
そんな私に、伊吹はわざと心配そうな顔をして「大丈夫?」と声を掛けてくる。
こんな時に、そんな顔しないでよ!
…コイツ。 私がその顔に弱いのを知っててわざとやってるのね?
実は私は、伊吹のこういう表情や学校での爽やかな笑顔に滅法弱い。
その顔を見ると、どうしても許しちゃうのよね… ってそーじゃなくて!
「私を怒らせると痛い目見るわよ!?」
「こんなチビに怒られても、犬が吠えてるようにしか聞こえないよ」
「私は猫でも犬でもないわっ!!」
そう反論しても、伊吹は面倒くさそうに
「はいはい」と言うだけ。
そりゃあ確かに、170センチもあるアンタから見れば150センチ以下の私がどれだけ叫んでも、犬がキャンキャン吠えてるようにしか聞こえないでしょうね!?

