制服のポケットからスマホを取り出して、適当にいじる。
メール…きてない。
電話…きてない。
…暇だわ。
チラリと横に視線を移すけれど、見える表情は全く変わっていない。
はぁ。と溜息をついた私は、ふとあることを思い付いて立ち上がった。
私が立ち上がっても、気に留める様子のない伊吹を確認しながらリビングを出てすぐにある階段を登った。
「ふふ。そう言えば最近、伊吹の部屋って行ってなかったのよね」
どんな事になってるのかしら?
伊吹ってば学校では整理整頓上手に見えても、実はものすごく下手くそ。
小さい頃は、私がよく伊吹の部屋を片付けてあげてたわよねぇ。
そんな懐かしい事を思い出しながら、階段を登って突き当たりにある部屋の扉を開けた。
「ん〜…。 昔とあんまり変わってないわね〜」
開けた先にあったのは至って普通の部屋。
少し散らかっているけれど、昔よりマシになったわね。

