髪オッケー。制服オッケー。顔はもうどうしようもならないからオッケー。


通勤ラッシュで込み合う駅の端で、かれこれ20分は鏡とにらめっこをしている。


どうしてかってそりゃ、森本さんとこれから会うからだ。


森本さんとは誰かと?


ふふふ。ふはははは!


聞いて羨め。この私の彼氏だ!




「はははははは!」


「うるさい」


「いたっ」



高笑いをしていたら後ろから殴られた。


誰だいったい。


恨めしく思いながら振り向くと、そこには我が愛しの森本さんがいた。



「森本さん!おはようございます!」



かっこいい。

今日もかっこいい。

こんな人の彼女であるとか、ふふふ。

勝ち組だ。



「にやにやするな」


へへ。

頭叩かれても好き。



「なんでまだ笑ってるんだよ」


「森本さん、今日もかっこいいなーって」


「…なにいってんだよ」



あ、照れた。

そんなとこまでかっこいい。

そう思ってにやにやしたらまた殴られた。