1人ぼっちと1匹オオカミ(下)


「なら、ゲーム行かねぇか?」

「いいですよ」

 遅刻した挙げ句、プレゼントまで選ぶのを手伝ってもらってダメなんて言えません。
 神野くんは笑って、先程買ったプレゼントを持って、手を引っ張ってくれました。

 神野くんがいつもより優しい気がします。

 ゲームセンターに来ると、大音量の音楽とまばゆいばかりの光に埋め尽くされていました。そんな中に人があっちにもこっちにもいて、すごいことになってます。

「なんか欲しいのあるか!?」

「え!?と、特には…」

 おしゃべりも必然的に少し大きな声になります。神野くんに手を引かれたままゲームセンターの中を回ります。
 あんなにおっきなぬいぐるみどうやって取るんでしょうね。

 と、突然神野くんが、1つのゲーム機の前で止まりました。その中には、恐らくペアとなっているネックレスがあります。キャラクター物でもなく、なんだか高級感があります。

「さぁ!本日のビッグイベント!!なんとこちらのペアネックレス、1万の価値があります!1回500円ですが、いかがですかぁ!!」

 突然響いてきたスピーカーからの声。イベントの商品だったんですね。でも、1回500円って初耳です。