1人ぼっちと1匹オオカミ(下)


「え?」
 走った勢いのまま思いっきり神野くんに抱きつきました。

 ひゃぁあああ!なんでしょうこれ、心臓がバクバクいってますよ!?走ったせいなんでしょうか。
 でも、顔まで真っ赤になっていきます~!?

 あ、あれ?抱きついた後どうするんでしょうかこれ。このまま謝るんでしょうか…。

 顔を上げれば、神野くんとばっちり目が合いました。

 ッ近い!いつもよりも近すぎます!!

「あ、えっと…寝坊してごめんなさい…」

「え、べ、別にいいけど…。なんかあったのか?」

「な、何がですか?」

「晴野が、いきなり抱きつくから…」

「え?あ、あの…こういうものなのではないんですか?」

「ん?何が?」

 自然と神野くんから離れて、首を傾げました。

 神野くんも同じように不思議そうな顔をしています。