1人ぼっちと1匹オオカミ(下)


「はじめの餌食は…50番!」

「なぁにぃぃい!!?」

 背後から大絶叫が聞こえてきたので思わず耳を塞いでしまいました。

 振り返ると顎が外れたかのようにぽかんと大口を開けた焔さんがいました。言わずとも、はじめの餌食は焔さんですね。

 男の子は真っ青どころかなんだか口から魂が抜けているような…。

 大爆笑が溜まり場に響く中、我を取り戻した焔さんがため息をつきながら階段を降りていきます。
 そして、男の子の前に行くと不機嫌な顔のまま大人しく待っているようです。

「あ、えっと…」

「ほら、ルールだから言ってやれ」

「雷斗は黙れ」

 男の子は助けを求めるように視線をあちこちに向けますが、誰もがニヤニヤしていて助けてくれる雰囲気ではないみたいです。

 困り果てている男の子は、なぜか上に視線を向けはじめて、バチっと目があってしまいました。

 首をかしげると、捨てられた子犬のような目がじっと向けられています。

 うぅ、なんだか罪悪感。