1人ぼっちと1匹オオカミ(下)


「朔夜~。よも返してよ~」

「お前いつも抱きついてんだろうが」

「むー。朔夜ってシスコン?」

「あ?」

「ほらほら、喧嘩しないでくださいね。どう考えてもよもぎちゃんが1番被害被りそうなので」

 やんわりと間に入ってくれた渉さんはなんと朔夜さんから私を救出してくれました。

 流石渉さん。分かってくれています。

「「ッチ」」

 あ、舌打ちの二重奏が聞こえてきました。
 お父さんとお母さんにそっくりですね。こういうところ…。

 と、そこへカンカンと音を立てながら階段を登って来た雷斗くんが私の隣に立つと、朔夜さんに視線を向ける。

「総長、よもちゃんも来たことですし、ビンゴやりましょうよ」

「声かけてこい。蓬、お前は下に行くな」

 朔夜さんの言葉に登って来たばかりの階段を駆け降りていく雷斗くんに着いていこうとしたら腕を掴まれちゃいました。

 せっかくのチャンスを逃すとは、不覚です。

 ちゃっかりその場でビンゴカードを受け取った私は、下に降りられるはずもなく…。

 結局その場でビンゴに参加します。