「晴野」

『…大丈夫。まだ、ありますから』

「…分かった」

 お父さんを見つめたまま、一度席を離れてまで声をかけてくれた神野くんに返事をする。

 お父さん、知ってたんだ。私が妊娠してしまったこと、降ろしてしまったこと。

 まだ、実感がなくて、正直体もきつい。
 でも、倒れたとしても、どうしてこの人たちを許すわけにはいかないから。

「…あんたも親だろ?どうして、娘が嫌がることを強制したんだ」

「…私、は…」

『…清牙さん』

 声をかけると、お父さんはすぐにマイクを返してくれました。

 でも、席に戻るつもりはないようで、その場で立ったまま隣に居てくれました。

 少し深呼吸をして、マイクを構える。

『もう、終わりにしませんか?まだ、やりますか?』