刑務所の職員2人と運転手が同乗して、事件の真相を議論する会場に向かう。

 手には手錠がはめられているものの、車内の雰囲気は重々しいものではなかった。

「晴野さん、本当にいいんですか?」

「えぇ、俺はあの子を信じます」

 話しかけてきたのは、まだ若い職員で、よもが面会に来たときに案内してくれた人だ。

 あの面会が終わってからやってきたこの職員は、蓬の言葉に疑問を持って会いに来た。
 それ以来、時々話に来るようになって、今ではすっかりこの事件が嘘であると確信しているらしい。

 自分でいうのもなんだが、犯人が言うことを信じていいのか?

「…娘さんは、来ますかね」

「来ますよ。あの子は怖がりなくせに大切な人を守るためなら、どんな奴にもお立ち向かう。そんな子ですから」

 そもそも、あの少年がよもなんだからな。

 全く、どんどん素行が悪くなっていく。そろそろ情報屋も引退させた方がいいかもしれない。

 …と、あんまり言い過ぎると過保護だって言って、頬を膨らませてきそうだ。