ニュースの画面が切り替わり、映し出されたのはどこかのホテルらしい場所。

 会見台が設けられた中央に座る父親は、険しい表情を浮かべていました。
 そして、その父親の隣には刑事の関口もいます。

『お集まりいただき申し訳ありません。本日お集まりいただいたのは、15年前の事件について異議を申し立てる少年と明日、この場で対峙することを報告するためです』

 父親はよどみなく、画面の奥にいるその少年を睨んでいるかのように険しい表情でした。

 というより、私はいつ男の子になったんでしょうね。

『15年前の事件に異議とはどういう事でしょうか』

『その少年とはいったい何者なのでしょう』

 記者から飛ぶ当然のような質問。父親は肩をすくませ、代わりのように関口が立ちました。

『2週間前の晴野清牙被告の裁判中、傍聴席で突然異議を申し立てた少年がいたことはみな様ご存知でしょう。その少年は2週間後の明日、この事件が全て嘘だということを証明してみせると言ったのです』

『事件が嘘!?』

『それはどういうことですか!?』

『みなさん、少年の戯言です。しかし、場を設けると約束した以上、果たすべきだと判断されました。よって、明日の午後2時、このホテルのこの場所で話し合いをしたいと思っています』

 ざわめく記者を一掃した関口はそういうと、座りました。

 続いて父親が立ち上がる。