分かってた。おかしいことくらい。剣人さんに言われていた薬をすっかり飲むことを忘れていて、昨日慌てて飲んだけど、意味がないかもしれないことも。
でも、認めたくなくて、あの人の影がちらついて眠るのが怖くなって、眠れなくなって余計に怖くなって…。
「晴野」
もう一度、呼ばれて顔を上げると神野くんの表情は少しだけ笑みを浮かべていて…。
頬に温かいものが落ちていくと、それを拭ってくれた神野くんは、大丈夫だというように頭を撫でて抱きしめてくれました。
「…1週間」
「遅れてる?」
何とか頷くと神野くんはもういいよと言うようにぽんぽんと背中を撫でてくれて、しがみ付くと抱きしめる力を少しだけ強くしてくれる。
薬を飲まなかった私のせいなのに、なんで泣いてるの?
忘れなきゃ、こんなことにならなかったかもしれないのに…。


