1人ぼっちと1匹オオカミ(下)


 電車を乗り継いで帰宅すると、お母さんは先に到着していたらしく、紅葉さんと剣人さんに話していたみたいです。

「よもぎちゃん、おかえり」

「ただいまです。…お母さんと紅葉さん殺気立ってません?」

「まぁ、怒るのも無理ないよ」

 という颯人さんも殺気が漏れてますね。

「よも、帰ってたのか」

「あ、剣人さんもいらっしゃったんですね」

「まぁな。それより、お前気配隠せ?清牙苦笑したのはお前の殺気のせいだぞ」

 お手洗いに行っていたらしい剣人さんが戻って来ると、苦笑いで頭をわしゃわしゃされました。

 と、私も殺気が出せるんですね。また進歩です。

 そんなことをいう剣人さんも十分殺気が漏れてますね。

「ねーね…?」

「ねぇね~」

 そんな殺気が漂うせいか、智希も望亜も壁に避難しています。

 屈んで手を広げれば飛び込んできたのでぎゅっと抱きしめます。