「…マジで来た…」

 神野くんが呆然と見上げる先には昨日の広西さん宅をも上回る大きな門扉です。
 その門にはでかでかと『林組』と掲げられていました。
 
 本当は手を借りる予定はなかったんですが、相手が極道さんに協力を求めたなら、きちんと協力をお願いしましょう。

 呑気に門の隣にあるインターフォンを押して返事が来るのを待ちます。

「晴野、事前に連絡とかしたのか?」

「え?…あ゛…忘れてました」

「はぁ!?」

『へい、って餓鬼が何の用だ』

 あはは、すっかり忘れてました。

 そして、インターフォンを押したからには返事が来ないわけもなく。

 出た瞬間は普通の声でしたが、カメラでこちらの様子が見えるのでしょう。

 思いっきり声で威嚇されました。