「こぉら!お姉ちゃんはね、お父さんを助けるためのお仕事があるの。だから、我慢できる?」

「…うん」

「いや!」

 紅葉さんの言葉に、智希は理解したものの、望亜ちゃんはしがみ付いて離れませんでした。

 まだ2歳で、お母さんから離れるのも嫌なはずなのに、一生懸命我慢していて、それ以上我慢なんかできないよね。

 でも、どうしても甘やかせれない。

「みあちゃん、ごめんね。お兄ちゃんと一緒にお留守番してね」

「いやぁあ!」

「みあ!ねーねのじゃましちゃだめだぞ!ねーねは、おしごとなの!」

「ん…ふえ…」

 ぐずり始めた望亜を智希が抱きしめて一生懸命にあやしています。

 お父さんがいれば、こんなに寂しくなかったはず。

 …だから、一刻も早くお父さんを助けなきゃいけない。

 そのために、早く動かなきゃ…。

 お昼を食べ終えて、情報屋の格好になる私を見て望亜はしがみ付いてきました。

 着替えなどの荷物は紅葉さんが預かってくれるそうなのでお願いして、望亜は智希に任せました。

 泣きしゃぐる望亜に悪い気がしながらも家を出て、バスに乗り込みました。