「何かあったんですね」
「はい。…私事なんですが、しばらく依頼を受けることが出来ないです。だから、ここにも寄付は出来ません。全部、解決すればまた再開するつもりです。だから、それまで…」
「情報屋さん、顔を上げてください」
完全に自分の膝を見つめていたので慌てて顔を上げます。施設長さんは本当に穏やかな表情をされていました。
「情報屋さん、あなたが責任を感じることなんてないんですよ」
「…え?」
「寄付はあなたの良心で行ってくださったこと。だから、それに義務はありません。あなたが謝る必要は全くないんです」
「…施設長さん」
「ここは、あなたのおかげで立ち直りました。大丈夫です。私はもう2度と大切な子どもたちを手放すことなんてありません」
施設長さんは自信満々な顔で、心配いらないと言っているようです。
立ち上がった施設長さんは、私の目の前に立つとぽんぽんと肩を叩いてくれました。
「あなたは、あなたのために動いてください。そして、もし私に役立てることがあるなら、遠慮なく連絡してください」
「…ありがとうございます」
「自分の家族を、大切にね」