頷いて雷斗くんの手に捕まり立ち上がると、雷斗くんが強く握り返してくれる。それまで開けることが出来なかったドアを雷斗くんは開け放ち、外へ飛び出す。

「ッ!?お前」

 ドアの目の前にいたスーツ姿の男性は叫びかけたが、雷斗くんは一瞬で相手の懐に飛び込んで鳩尾に拳を叩き込むと言葉もなく倒れてしまいました。

「よもちゃん、こっち!」

 はじめて部屋の外に出ましたが、その広さに思わず息を飲んでしまいました。廊下は赤いじゅうたんが敷き詰められ、天井には小ぶりなシャンデリアが等間隔で並ぶ。

 雷斗くんに手を引かれ、その廊下をまっすぐに駆け抜ける。

 しばらく走ると広いホールのような場所に出た。そのホールの中央にそびえる階段を駆け下りて、まっすぐ正面のドアに向かって走る。

「っな…雷斗!」

「逃がすな!!」

 背後から聞こえた言葉に思わず振り返ると、父親と父親の再婚相手の女の人がいました。
 父親の指示で黒いスーツを着た人たちがこちらに一斉に走ってきました。