「蓬、いい加減に何か食べろ」

「…いりません」

「無理やりにでも食べさせるぞ!」

「勝手にしてください」

 結局助けも呼べない日々が続き、外に出るための強硬策に移りました。それは、何も食べないこと。絶対に死なない。でも、ギリギリまで死に近づくためにです。

 危険だってわかっていました。でも、こうでもしなければ外に出る手段がない。

 もう、3日は食べてないはずです…。

 TV見てないからもう日付の感覚が分からなくなりそうです…。監禁されて次の日から食べてないんですけどね…。

「っん…」

「手間をかけさせるな」

 口の中に無理矢理入れられる何か。それがなんなのかさえ分かりません。
 でも、父親の顔は必死でした。

 そうだよね、死なせたりしたら非難が自分に向くかもしれない。

 それに、気づかれないように部屋のあちこちに私は遺書を残しています。そこには清牙さんの無実を訴える物とこの父親を陥れることが書いてある。

 だから、万が一のことはすでに済ませてる。

「ッチ、くそ忙しいときに」

「…なら、殺せばいいじゃないですか。邪魔なんでしょう?」

「お前を殺せば苦労して連れ戻した意味がなくなるだろう!!」

「会社のためですか」

「お前のためだ」

「…私のため?私はこんなこと望んでません」

 黙り込んだ父親は無言で私の口に何かを入れ続けました。

 それが空になってようやく出て行った父親にほっと息を吐く。