「大宮さん、こちらに」
「いえ、車を呼んでいますので」
「では蓬さんだけ…」
「連れて帰ります。14年ぶりですから、話したいこともありますので」
「しかし、蓬さんの状態を見て落ち着いているとは思えません。そんな状況で引き渡すことなどできません」
「この子は私の娘です。連れて帰ることに何か不都合でも?」
「ねーね!」
「ッ…ともくん、みあちゃん…」
「ねぇね!!」
こちらに来ようとする智希と望亜をお母さんが抱きしめて泣くのを必死に堪えているのが分かりました。
私、もう、一緒にいられないの?
もう、家族じゃないの?
「晴野!」
「…神野くん」
「車が来たようなので失礼します」
「あ!大宮さん待ってください!!」