「俊也、何やってんだ!」

「ぐえッ」

 バコンととんでもない音がして振り返ると、お父さんに殴られたらしい俊也さんが伸びてました。

 自業自得…ですね。

「ったく。よも、水飲ませてあげなさい」

 お父さんはため息をこぼすと、ふらふらの神野くんを見てまたため息をつく。

 水を持ってくると、神野くんはそれを飲み干して私を見ると手を伸ばして…。てえ?

「か、神野くん!?」

「ん…」

「あら、よも大人しくしてなさい。秋空くん起きちゃうわ」

 なんと神野くん抱きついてきました。離そうとしても力が強くて離れてくれません。

 こ、これどうすれば…。

 お父さんを見上げると、苦笑を浮かべて頭を撫でてくれました。

 …つまり、このままでいろって事でしょうか…。

 うぅ、でもどうすればいいんでしょうか。とりあえず神野くんの肩に触れると何となくそのまま背を撫でていました。

 胸の奥が壊れそうなくらい音を立てて、どうも言えない感情が喉の奥で詰まっている。苦しいのに、愛おしくてたまらなくなる。これはなんていうんでしょうか…。

 そんな思いを抱えたまま、気づけば神野くんに抱きつかれたまま眠っていました。