寝室を出てハルの部屋の前へ。
ふうっ、と深呼吸してそっとドアを開けてみた。
ハル……?
うそー……
「居ない……!」
あっ でも荷物が整理された状態で置いてある。
……いや、これも幻覚かも……
あたし病気なんだ……きっとそうなんだーっ!
でもでもっ!
そうだっ!!
ダーッと階段を駆け下りてリビングへ。
昨日二人で飲んだビールの空き缶が……無い!!
片付けた覚えもないのに……
バスルーム!!
脱衣カゴに洗濯物があるはずっ!
勢いよくバスルームのドアを開け、カゴの中を探す……
「あった!」
ハルのTシャツとボクサーパンツがあるーっ!
でもでもっ
これも幻覚かも……
「……ちゃん……なっちゃん……」
あっ ハルの声が聞こえる……幻聴まで……
「なっちゃんっ!!」
……目の前でハルが呼んでる……
幻覚と幻聴ダブルで来たか……。
もう重症だ……モモを実家に預けよう。
そしてすぐに病院に行こう……。
「おーい、なっちゃん!?
なに?寝ぼけてんの!?」
肩を揺すられてるみたい……。
「なっちゃんどうしたの?
大丈夫!?」
……幻覚があたしの心配してる……
なんで腰にタオル巻いてんの?
幻覚のくせにセクシーね……