「う………あーもー!!だってこんな暗い中一人で帰すの心配だったんだよ……」
彼はそう言いながら少し照れたような表情になった。
心配。いつも私が秋君を心配していた立場だったのに、彼の口から心配という単語が出るとは思わなかった。
「ふふっ…」
思わず私は笑ってしまった。
「はぁ?!な、何で笑うんだよ…」
「ううん、何でも。……でも、ありがとう!」
私は彼に笑顔で感謝の言葉を贈った。
「っ……」
すると彼は目を一瞬見開き、こちらをじっと見ていた。
「ん?…どうしたの?」
すると秋君は静かにそっと私のほっぺに手を触れ、顔を秋君の方に向けた。
「……なぁ、キス、してもいいか?」
「え?!」
キスという言葉を聞いただけでドキドキしてしまった。
(キ、キスって、あれだよね?!恋人がする方の、決してお魚さんの方とかではないよね?!)
そんな私の変な混乱もかき消すかのように彼が言葉を発する。
「無言は、肯定でok?」
そして恥ずかしいながらもゆっくりと頷く。
彼の顔がどんどん私に近づき、それに合わせるようにゆっくりと目を閉じていく。
そして…
チュッ………
私と彼の唇が重なる。
「愛してる…」
彼はそう呟き、もう一度角度を変えて唇を重ねた。何度も、何度も……
息をするのが精一杯だった私は小さな声を漏らすことしかできなかった。
でも、私の気持ちもあなたに伝わって欲しい。
いや、伝えたい。

愛してるよって…