「 好 き 」

数学の時間はすごく憂鬱だ。


まったく意味も持ってなさそうな数字やアルファベット。


どうして英語じゃないのにアルファベットが出てくるんだ。



「小鳥遊さん」



「…?」



急に話しかけてきたのは、隣の席の男子。




「今の数式、ノート写した?」



「え?あ、うん。写したよ」



「よかった‼︎
俺、写し忘れちゃってさ…写させてもらっても良いかな」



えっと…
この人と話すの初めてかも…



すこーしだけ緊張。



「はい、どうぞ」



そう言いながらあたしは隣の席な人にノートを差し出す。



あまり、綺麗にまとめられてないけど
大丈夫かなぁ?




隣を見ると、一生懸命ノートに数式を写している男子が目に入る。



なんだ、心配するほどでもなさそう?



「ゆっくりでいいよ?」



「いや、借りてるからさ
なるべく早く返すよ、なるべくね」



「なるべくなの?」



「そ、なるべく‼︎」



ふは‼︎ と、あたしが笑うと、不思議そうな顔で隣の席の男子が見てくる。



「なるべくなのね。
分かった分かった〜」




教科書を開いて、先生にはちゃんと授業を受けてますよ感を出す。



まぁ、そのうちバレるだろうけど。



ゆっくりで良いって言ったのは自分だし…何してようかな…



暇だな…



ほんと、数学はつまんない……




「ほい、さんきゅーな‼︎
ほんと助かった‼︎」




すると、隣の席の男子が笑顔でノートを返して来る。




「あっ、うん〜
いいえ〜」




始めて話したけど、フレンドリーな人だなぁ…