「 好 き 」

好きって気持ち、こんなに苦しくなることあったっけー…って思い始めてる。


ただ純粋に、好きでいたい。


それすらも叶わないのか、なんて。


【 葵 Side. 】



「葵ー、俺お前に話あんだわ!」



「おー…」



高校1年のある日の昼休み。

まだ俺はクラスに馴染めなくて。

フツーに一人で弁当広げて食ってたら、別クラの仲良い友達が俺に声をかけて来た。



そんで、連れてかれたのは校舎裏。
ここはあんま人が来ないから話し込んでてもバレない。


それに、サボるのには最適な場所。
もちろん何度かここにはお世話になってるんだけど。



「話って?」



「言いづれーんだけどよぉ…葵、ちゃんとクラスのやつと一緒にいんのか?」



「………」



は、なんだソレ。
そんなことでコイツはここに呼んだのかよ…。



くだらねぇなぁ



「別に、つるもうと思う奴もいないんでね」



「また葵はそうやって…」



なんだよ、なんでお前がそんな悲しい顔すんだよ…。


こんなん俺一人の問題だろ?
だったら、お前が踏み込んで来なくても良いじゃねえか。



「俺が心配なんだよ、分かんねえの?
中学の頃まで一緒で、周りの奴らからも本当仲良いよな!って言われてたのに、なんで高校で別クラになったからってそうなっちゃうんだよ!廊下ですれ違ってもいつも俺しか声かけねぇじゃん…」



「それは…」



確かにそうだったかもしんない。
俺は声をかけたりしてない。


でも、それには理由が………



理由なんか、あったっけ?
いや、ただの言い訳か。



「俺のこと鬱陶しいとか思ってんなら言ってくれたっていいだろ…」



はぁ…とため息を尽きながら俺にそう言ってくる。



ため息をつきたいのは俺だ。
なんで………



…俺が変わればいいだけの話か。
もし、俺が変わったら………



「俺が変わったら、お前はもう心配とかしねぇんだよな?翼」



「あ?まぁしねぇよ」



「分かった、じゃあ変わるよ、俺」



そう翼に言ってから、俺はその場所から早足に去る。



後ろからなんか言われてるけど、そんなの関係ねー。



******************

次の日から俺は変わった。


女子が困ってたら助けた。
男子の奴らのことも助けた。



疲れるけど、愛想振りまいて、そんで上辺だけかもしんねーけど、友達も作ったつもり。


女子ともたくさん遊んだ。
女子とのことはそれなりに良い加減に遊んで、彼女もいたしでもすぐ切り捨てたり、すぐ他の女と遊んでた。


なぁ、翼。
これで良いんだろ?
俺は変わったんだよ。

******************

「わははっ!
葵、それ恥ずいと思わねーのかよっ
てか…女に良い加減過ぎ!顔は良いからってよー(笑)」



「いや、恥ずいと思ったけど……
今更否定できないじゃん?(笑)顔は良いからって、それしかないのか俺は(笑)」



友達と授業をサボりながら、俺は廊下を歩いてたら、前から移動教室のクラスがゾロゾロ歩いてきた。



やべ…
ここ、翼のクラスじゃん…。



「あれ…葵?」



「………」



「お前…こんなとこで何してんだよ!
授業は?サボってんのか?」



「お前には関係ねーよ」



それだけ言うと、周りに人がいるのも気にせず、俺は翼を押しのけて友達に、


「行こーぜ」


そう言ってその場から立ち去った。



そしたら………




「お前、変わるってそういうことだったのかよ…なんとなく話は聞いてたけど。」



「…翼」



めっちゃ悲しそうな、でも怒ってるような顔をして友達と一緒に翼は俺らの元から離れてった。



もう、終わったと思った。



俺に優しくしてくれた翼に、俺はなんて酷いことをしたんだ、って。



その日はずっと自己嫌悪。



昼休み、友達が飯食おうと言って来たけど、そんな気になれなくて俺は翼に謝ろうと思って探してた。



そしたら…



「西内さー、良い加減にしろよなー
葵変わったんだよ。てか、お前もそれ望んでたんだよな?」



俺と少ししか関わったことが無い奴が、翼に突っかかっていた。



俺の体は勝手に動いてて。



「…何してんの?」



「葵っ…」



翼は、なんで、って顔してたけど
そんなのも関係ねー…。



「お前、翼に何してんだよ…離せよ、その手!」



翼の胸ぐらを掴んでいた手を俺は払いのけようと近づくと、そいつらはビビったのか言葉で対抗してくる。



「な、なんだよ葵!
お前、こいつに言われたから変わったんだろ⁈」



「…そうだけど?」



「じゃあ、なんでこいつの味方なんか…」



「俺が最低だから…いつだって翼は俺を心配してくれてた…っだから!翼の事傷つけんな!」



「…わかったよ!!!」



そう言うと、あいつらは逃げてった。