「 好 き 」

「なづ?こっちおいでよ」


莉子ちゃんと話していた美咲ちゃんが、あたしのことを呼ぶ。



「あ…うん」



少しだけ、引きつってしまったかもしれない笑顔を見せてからあたしは2人の元へ歩いて行った。



「この3人でいるの久々かもね〜っ
莉子が葵くんとずっといるんだもん。ね!なづ」



「そう…だね。
本当に久しぶりだねぇ〜…」



莉子ちゃんの目をあまり見ないようにしながら、あたしは急に振られた話に乗っかった。



「美咲」



「え?なに?」



「休み時間とかは私いるじゃん。
なづと美咲と光里が3人でいるだけじゃん?」



少し冷たい言い方をする莉子ちゃん。


もしかして……。



「なにそれ…まだあのこと寝に持ってるわけ?」



「…べつに」



「もう、いいよ!話しかけた私がバカでしたね。行こっなづ!」



「えっ…!」



あたしは急にぐっと腕を引っ張られて、教室から出て行く。



まだまだ走っている美咲ちゃんの後ろ姿を見ながら、莉子ちゃんの事を考えた。


莉子ちゃん…
さみしそうな顔、してた。



「…美咲ちゃん」



やっと止まった時に、あたしは息を整えている美咲ちゃんに勇気を出して莉子ちゃんとのことを話してみることにした。



「美咲ちゃんは、莉子ちゃんとの事、ちゃんと大事に思ってるよね…?」



「急に何…?
てか、あんな態度取られたらそれどころじゃなくなるし!」



だんだん怒って来てしまったのか、
美咲ちゃんは俯きながら手をぎゅっと握ってる。



「でも莉子ちゃん、寂しそうな顔してた…」



「なづ…」



「あたしは、莉子ちゃんのこと大事に思ってる。でも…あそこまで言うなんて良くないと思うっ」



美咲ちゃんの腕を掴みながら、あたしは必死に美咲ちゃんに話しかける。


美咲ちゃんは驚きの表情を隠せないとでも言いたげに、あたしから目線をそらした。



「あたしは莉子ちゃんとも仲良くしたいよ?そりゃ葵くんのこともあって嫌になることの方が多いかもしれないけど…」



今のが本音。
莉子ちゃんがいることで葵くんの話を聞く機会が増えるのは事実。



「でも、莉子ちゃんのこと嫌いじゃないから…」



「…でも、まだ無理だよ。
なづのこともあるから…だからごめん。
少し考えさせて…?」



それだけ言うと、美咲ちゃんはあたしの腕を離して、一人で来た道を帰って行った。