「 好 き 」

月曜日。


あたしはワクワクしながら学校に向かう。



今日は光里に謝りに学校来たと言っても過言ではない‼︎



「あ、なづ‼︎よかったぁ…」



「美咲ちゃん‼︎おはよう」



「うん、おはよ‼︎
もうスッカリ元気になったの?」



「おかげさまでね」



「そっか、よかった‼︎」



下駄箱で美咲ちゃんに会うと、美咲ちゃんはあたしの腕を引っ張ってコソコソし出す。




「ね、ねぇなづ…」



「ん?」



「まだ葵くんのこと好き?」



「…えっ⁈」




急に小さな声で話し始めると思ったら
葵くんが好きかどうか聞き始める。




「お願い、重要なことなの‼︎答えて…」



「…うん、好きだよ。
もう誰にも止められないくらいに」



「良かったぁっ‼︎」



「え?」



「葵くんね、なづが休んでるときすっごくかっこ良かったんだから‼︎」




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あたしが休んだその日は、重要な実行委員の集まりがあったらしくて、でも休んでしまったあたしは当然出れない。



その代わり、莉子ちゃんが出てくれたらしいんだけどね。

まぁ、付き合ってるから……。



それで、そのことを知らなかった葵くんがあたしの事をまた迎えに来てくれたらしいんだけど……



例のあの男子が待ち伏せしていたらしく
…あたしの事を。



とうぜん、あたしは学校に居ないのだから男子の前に現れることはない。



ここまでは普通の事だったんだけど…




『おい園田』



『なに…またなんか用?』



『小鳥遊は何やってんだよ?早く連れてこいよ』



『連れて来た所でお前は何の用なわけ』



そこに莉子ちゃんがドアを開けてやって来て、それに気づいた葵くんが莉子ちゃんに小鳥遊さんは?って聞いて休みのことを伝えたらしいの。




そしたら、男子が怒って…。



『あいつ逃げたんだな⁈
俺に散々言いたいこと言っといて、逃げんのかよ…ずいぶん卑怯だぜ』



『小鳥遊さんは逃げたりしない』



『お前にそんな事わかんのかよ?』



『分かる、ずっと見て来たから分かる』



『でも、どうだかな?お前の前では良い子ぶってるだけかもしんねーぞ?』




『お前に…っ菜月の何がわかんだよ‼︎菜月のこと悪く言うんじゃねぇよ‼︎』




そうやって血相変えて、その男子に突っかかったらしい。



それで先生に見つかって、二人は生徒指導室に連れて行かれて、何があってこうなったんだ。と聞かれたけど、あたしの事を庇ってずっと黙っていてくれたらしい。




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「すごいでしょ、葵くん…」



「…っう、んっ」




あたしの事を名前で呼んでくれた。
あたしのために怒ってくれた。



「ちょ、なづ?大丈夫?」



美咲ちゃんに背中をさすってもらう。




「みっ、美咲ちゃん…あたし、どうしようもなく葵くんが好きだよ…っ」




「なづ…」




好き、好きなの………